ゆうべ珍しく早く寝たら、夜中に目が覚めて眠れなくなり、ふいに桑田が頭に浮かんで、あれこれ考えていた。
桑田が最初甲子園で優勝した年、当時突出していた水野の速球を、それも高めのボール球をレフト中段までかっ飛ばした映像が強烈によみがえってきた。
僕は中3、桑田は高1だったけど4月1日生まれ、同級のようなものだったから余計衝撃を受けた。
こいつにはかなわねぇ、野球で心底そう思ったのはそのときだけだ。
あの振り出しからインパクトまでの速さは尋常じゃなかった。それにバットをあれだけ短く持ってあんなにピンポン玉みたいに飛んでくものか。右のリストがムチのようにやわらかくしなる。
王さんみたいに、プロ入りしてすぐバッターになっていたらものすごい選手になっていただろう。ショートを推す人も結構いたんだよな、確か。でも当時監督の王さんが「桑田はピッチャー」と決定したんだよな。
抜群にやわらかい右腕から投じるあの大きなたてのカーブは他に投げる人がいないような球だったけど、故障後はやはり切れが落ちたように思う。
一流投手ではあったけど、打者なら史上最高の選手だったかも、と思うと少し残念。
結局外が明るくなるまで布団の中でもぞもぞしながらどうでもいいような空想に耽っていた。俺も相当平和だなぁ。
桑田引退記事