行儀悪い犯人はキツネだった。
白昼堂々ネットをくぐって押し入り、黒もち咥えて隣接する林に運び込んでちょこちょこいいとこ食ってまた採りに来る・・・という流れ。総採り狙いか。
暫く我慢して眺め、その流れを把握した僕は、ネット内に入ったところを棒を持って殴りつけてやるつもりで、忍び足で近づいていった。
押し倒したり物色しながらうろうろしていたキツネだったが急にこっちを見た。
こういう瞬間に動きが止まる。すると反射でこっちも止まる。その一瞬にダッシュをかけられればチャンスはあったかもしれないができなかった。逃げる姿に余裕が漂っていたのが悔しい。
ネットの下をもぐられるから石や垂木をびっちり隙間なく置いて回ったが、ダメかな、甘いかな、という気もしている。
思えば少し前には鶏のために、キツネ対策に専心して小屋作りをしていた。
土深く掘ってトタンを入れたりして、大事な鶏と同じように大事なトウモロコシも守らなきゃいけないのかな?
自然豊かな環境の中で農業ができる、と普段アドバンテージと感じていることも、実は大きなリスクを伴うわけで・・・。
今更いうことではないが、農業はなかなか大変だ。