ある知り合いの胡桃の木、推定樹齢100年、直径は長いところでは約120センチ。
ここは胡桃の名産地だが、NHKの特集でもかつて全国に紹介されたとかいう有数の巨木の伐採を依頼された。
あまり気乗りはしなかった。御神木と言いながら、切ってくれ、なんて・・・。
実際木の前に立って、その風格に感じ入ってしまう。ああ人間とは実に人間的な理由によって、いともたやすく他生物の命を絶つんだからな・・・ いやしかしここは去来する思いは胸にしまいこみ、といいながら、料金までちゃっかり設定している俺って・・・ いやいやそんな暗~くなるような気持ちは消去して、職人の使命(?)を果たしたわけです。
任務は運び出しまで。
1メートルに玉切りしてもチルホールの力を借りなければビクともしないほどの重量がある。
よく、人間は80%(だったっけ?)は水分である、なんて聞くが、木だって変わらないな。
生きるっていうのは、瑞々(水水)しいってことなんだな。しかしこれだけの巨体を満たすために吸い上げていたその水の量って一体どれほどなんだろう。
木の根は偉大、自然は神秘・・・なんて、また哲学者(?)が顔を出す。
真冬日に、汗だくになりながら。
・・・・
さて、命を断ち切られ材木となった御神木様、からからに水を抜かれ、蒔となって灰となり、地球の中心に還っていくんだよね。