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後悔などあろうはずがない

元野球選手イチロー氏の引退会見時の言葉だったと思うが、何度も何度も、それが自然に口をついて出た。

いよいよ死線が見えた日、未知のことゆえ多少の不安はあるものの、怖くは感じなかった。あとは少しの寂しさと家族への申し訳なさが浮かんできたが、それも割り切るしかなかった。

実際思い残すことは何もなく、その瞬間がきたら渡っていくだけだと覚悟を決めた。

スズやコロやヒメ、ピヨ、プク、チビ、、まろ(友人の愛犬)にも会えるかな、、、そんなことを考えていた。

こういうと身近で首をかしげる人もいるかもしれないが、、僕は自分なりに本当に精一杯生きた、現実の結果がどうあれ最大限できることをしたつもり、ベストは尽くした、まったく後悔など、、、心底そう思えた。

この日は眼が冴えたまま朝を迎えるまで一睡もしなかったが心持としてはとても落ち着いていた。

 

ことの発端はずっと昔、右肋骨下あたりの違和感があり病院に行ったとき、胆嚢にポリープがあるといわれたこと。

但しその時点では何か症状が出るようなものではないはずで、1年に1度経過観察(エコー検査)していればいいでしょう、とのことだったので、そのうちそのことはほとんど頭から消えてしまった。

 

それから20数年の時を経て作年末、右上腹部辺りに鈍い痛みが続き大晦日、正月三が日とさんざん飲み食いしたら痛みがさらに増した、、、そこでずっと忘れていたことを思い出した。”胆嚢ポリープ”。

急に閃いたからこれは何かのお告げではと予感がして病院へ。年に1度の検査を進められてから20数年1度も行ってなかったではないか。

 

以下はドクターとのやりとり。

痛みがあるの?

はい

(小型エコーで覗いて)う~ん分厚いな、ポリープというより凸凹に変形して盛り上がっている

・・・そうですか、悪性の可能性もけっこうあるんですかね?

良性なら大きくならないからね

・・・たしか、昔言われた気がするんですが、1センチ以上にまでなったら悪性の可能性が高まるんでしたっけ?

これ2センチはあるよ、、早く切り取るべきだと思う

・・・

そして血液検査の腫瘍マーカー値は基準値をかなりオーバー。

 

帰宅してネットを漁る。胆嚢癌の項目に当てはまることばかりと感じる。痛みが出始めたら既に進行している状態だと知る。

その後数日で痛みは増し食欲は減退、もう疑う余地はないと感じた。

 

 

ところが、

その後別の病院を紹介されて、、、

覚悟はすっかりできてます!

ドクター

いや、これポリープが悪さしてるとは思えないですね

はっきりしたことはまだ言えないけど胆嚢癌という可能性は低いと思います 痛みは他の原因じゃないでしょうか

え??、、、そうですか

ドクター

腫瘍マーカーやポリープの大きさ等心配なところもありますのでもう少し精密な検査をしましょう

日取りは、、、(だいぶ先)

 

というわけでまだグレーゾーンではあるものの、急に楽観的な感じが漂うようになった。不思議なもので食欲が一気にでてきた。その時は一瞬拍子抜けというかぽっかりと穴が開いたような気分にもなったのだが、今はもうすっかり前向きな気持ちを取り戻している。

仮に何があっても大丈夫、どんなことも受け入れられる、そういう自分であるとわかったことが大きな自信として残った。力が湧いてくる。

 

この間に癌に関する様々な本を読んだ。

癌を呼び込む食事や生活全般、情報は山ほどあるが、現代は2人に1人が癌になる時代という。いや100人に100人の体に毎日癌細胞は生まれているのだというから、免疫がうまく働かなければ自分の中の癌細胞が育つわけだし、、なにも特別なことではなくすべて自然の営みに基づいているのだとわかる。そしてそれがそれぞれの運命なのだと。

健康に良い、生命力に溢れた野菜作りに励んでいて、毎日の夕食では健康度100点満点と自賛するメニューを用意する僕も、昼食は仕事の移動の合間に牛丼屋に駆け込み入店から5分後には御馳走さまと店を出ることや、片手ハンドルで運転しながら菓子パンかじって昼食、なんていうこともあった。あとラーメンスープをどんなにギトギトであっても苦しくても最後の一滴まで飲み干すなんていう自分なりの決め事もあった。

さすがにそんなことはやめようと決意しているが、癌を育てる土壌というのは、加齢とともに培われる面もあるだろうし、日常の1つ1つ、ストレスを中心とした複合的なものだろう。

 

よく動き、よく休み、よく温めて、深く呼吸し、よく笑い、糖分塩分脂分控えめに、無理はせず、と紙に書いて壁に貼り付けた。

だけどわかっている。守れない時があること。気持ちが先走り、無理を承知で動くこともあるだろう、こと。それが生きているということだから、、と思う。

 

 

右上腹部が痛くて動けない日が続く。

癌では、と思い込んだ頃からボクシングジムに通い始めた。気分と体温を上げて癌細胞を弱らせよう、その他の細胞を活性化させよう、と考えたことが大きな理由だったが、それが束の間の憩いの時間となっていた。試合が近い選手のスパーリングパートナーとなって役立ちたい、また上達したい、体調は芳しくないながらもそんな風に気持ちを奮い立たせて通うことが楽しみになってきた。くたくたになったが、癌だとしても死滅するのでは?いや疲れすぎて免疫低下かな?そんなことを考えたりして、、、農閑期の趣味として高揚感が芽生えてきた、がその矢先どうやら無理がたたったようで動けないほどの激痛がきた。

今これは胆嚢ではないよなぁ、脇腹の筋肉の肉離れ?肋間神経痛?と思っているが。(肋骨折れてた)

 

 

人生をフルコースで深く味わうための

いくつものスパイスが誰もに用意されていて

 

とミスチルの歌詞にあることを思い出し、

いやぁほんとに、と思いながら口ずさむ。

 

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