憂鬱な気分が突如立ち込めて、死にたくなったと全然本気じゃないが、多分生まれて初めて言った日だった
そんなことを言ったことを後悔していた
この日は予期せぬことが重なってしまった結果、日がすっかり暮れてからの帰宅になった
そんな時いつもならなにより鶏達のことが頭にあって、軽トラを飛び降りるや否や鶏舎の戸を閉めに駆けていく
彼女たちは1日中目いっぱい遊び、日暮れ近くに鶏舎に戻り止まり木にあがって僕の帰りをじっと待っている
それがなぜかこの日は、まず家に入り、さほど急ぐことなく翌朝用に豆腐とヨーグルトを器に入れて、さて持っていこうとしたときだった
悲鳴が!
窓から叫んだ、獣が走っていく音がした
あわてて飛び出した
鶏舎に鶏の姿はない、悲鳴のしたほうに・・・スズの・・・すでに・・・瞬殺だった
思考が止まった
その死体を抱き上げた、その時
庭の反対側で悲鳴 あ!!ヒメの声!!!
叫びながらそっちに向かうと獣の駆け出す激しい音
ヒメの姿はなかった、羽が散乱していた
咥えていったのはキツネだろう・・・
鶏舎の付近でチビとピヨがやられた形跡!があった そして・・・すくなくとも帰宅時に2羽は生きていた。スズとヒメはなんとか生き延びるために必死に隠れていたに違いない
どんなに怖かっただろう
何も見えない真っ暗闇の中、鶏舎から25メートルも離れた場所まで逃げて身を潜めていたヒメをせめて、なんで助けてあげられなかったかな・・・
健康的で元気に楽しく暮らし、まだまだ長い長いギネスに載るほど長い鶏生になるかも、と思っていた
それがたったの3年10か月
濃かったけど・・・すごく濃かったけど・・・そうだよね?
必死に生きて生き続けたかったのに奪われたこの4つの命、それが安っぽい”死にたくなった”と引き換えだったと思えていたたまれない
ふざけんな、人生舐めんなよという、なんか不思議な力が働いたように思える
生きる生きる、もうやるしかない! 4羽・・・あとコロとプクで6羽の我が子の分まで、精一杯生きる ギリギリまで オレも!!!!
・・・
スズの遺体だけ残った
活発で、甘えん坊で、わがままで、うるさくて、手を焼かせるけどとびきり可愛かったスズ
どっか痛めたときでも弱みはみせず、いつも堂々とたくましいスズに憧れてた
コロの時とは違い今回は食べなかった
一晩中抱きしめて
そして翌朝
3年暮らした鶏舎に埋めた
これからはおうちでゆっくり安心しておやすみ